HTML5に想うプログラミングの歴史
HTML5の勉強をしていたら既視感を感じました。Javaのころも同じようなことを標榜していなかったっけ?
で、今回はプログラミングから離れて、私の目から見たパーソナルコンピュータの歴史を振り返ってみました。
私が生まれる前後のパーソナルコンピュータ誕生史です。
時代 | トピック |
1962年 | LINC発売。Sketchpad開発 |
1968年 | NLSデモンストレーション |
パソコン黎明期には「パーソナルコンピュータ」とは一体なんなのか、プロアマ問わず多くのソフトウエア作家が活躍しました。雑誌(ビット, I/O, マイコン)がソフトウエア媒体だった時代です。(1970年代)
1969年 | 雑誌bit創刊 |
1972年 | Dynabookコンセプト発表 |
1976年 | TK-80発売 |
1976年 | 雑誌I/O創刊 |
1977年 | Apple II発売。雑誌アスキー創刊 |
1978年 | ベーシックマスター発売 |
1978年 | MZ-80K発売 |
コンピュータと全く別の文脈で1979年にウォークマンが生まれます。
ソフトウエアが民間ビジネスとして成立することがわかると、ソフトウエアは一般には作るものから使うものに変わり、プロとアマにはっきりと差が生まれました。組織と個人の差と言ってもいいかもしれません。(1980年代)
1979年 | VisiCalc発売。PC-8001発売。ウォークマン発売 |
1981年 | IBM PC発売(PC-DOS付属) |
1982年 | MS-DOS発売。IBM PC用WordPerfect発売。PC-9801発売 |
1983年 | ファミリーコンピュータ発売。松発売。TCP/IP運営開始。GNUプロジェクト発足 |
1984年 | Macintosh発売。JUNET開始 |
1985年 | Windows発売。一太郎発売(MS-DOS用)。日本で通信事業自由化 |
1987年 | ポケベルブーム |
1988年 | アメリカで商用インターネット開始。 |
1990年 | Windows 3発売。Windows用Microsoft Office発売 |
ところが、インターネットによってまた状況が変わります。個人がフリーウエアを公開でき、また、個人が協力できる環境ができてオープンソースが生まれました。ただし、公開とオープンソースにせざるを得なかったのは、GNUが唱えるような理想、理念の影響だけではなく、個人の集団では、製品に対する責任と課金に対する責任を果たすことが難しかったことが大きかったと思います。
1991年 | Linuxリリース |
1992年 | 日本で商用インターネット開始 |
1993年 | Mosaicリリース |
1994年 | Yahoo!創業 |
1995年 | Altavista開始。Windows 95発売。amazon.com開始。WikiWikiWeb発表 |
1996年 | Java発表。Flash発表 |
日本ではインターネットが変質して携帯電話上で小額課金のエコシステムを構築し始めました。
そしてアメリカでは、インターネットによる新しいビジネスモデルと問題が提示されました。Googleのロングテールビジネスと音楽違法コピーです。Googleは広告による小額課金が経費に食われることなく収益を生むことを示した一方、インターネット上で音楽の違法コピーが反乱し音楽事業が大きく揺らぎました。両者を合わせて事業機会と捉えたのがiTunesでした。手間なく少量の課金で得られるのなら、ユーザーはただには拘らない。むしろ法を守ることを望む。ということをアップルはシステムを実現して示しました。それだけでなく、ソーシャルの機能を組み合わせることでインディーズの事業機会を増やしました。
上の事象と平行してブログの流行が始まり、今も続いています。
この間、OS、アプリケーション、ゲームなど主要ソフトウエアの巨大化が進みました。
1998年 | mpman発売。Google創業 |
1999年 | i-mode開始。Napster開始。さるさる日記開始。2ちゃんねる開始 |
2000年 | PlayStation2発売 |
2001年 | Windows XP発売。iTunesリリース。iPod発売 |
2003年 | iTunes Store開始 |
ブログに続いて日米同時にソーシャルネットワークが立ち上がります。Wiiがゲームの方向性に関して別の方向性(軽薄短小)を提示しましたが、携帯電話という限定された端末で既にDeNAがFlashゲームで先行していたとも見られます。
2004年 | ニンテンドーDS発売。Facebook開始。mixi,GREE開始 |
2006年 | Twitter開始。モバゲー開始。Wii発売 |
スマートフォンというキーワードがiPhoneによって具体化されます。端末が開発者を刺激し、ネイティブの開発環境が切望されました。そしてApp Storeの時代へ。アプリケーションビジネスが恐竜の時代から軽薄短小の哺乳類の時代に変わったという意味で隕石衝突に匹敵する出来事と思います。
2007年 | iPhone発売 |
2008年 | App Store開始。Android端末発売。Android Market開始。Groupon設立 |
2010年 | iPad発売。Steve Jobs, "Toughts on Flash"発表 |
2011年 | Mac App Store開始。HTML5元年となりそう。 |
こうやって概観すると、イノベーションの速度が昔と比較して倍ぐらい速くなっていることがわかります。ある意味当たり前ですね。少しずつ形を変えながら歴史を繰り返していますから。
にもかかわらず、まだ誰かがコンピュータを一流演奏者が楽器を扱うようには使いこなす時代は来ていない。コンピュータのユーザーエクスペリエンスは変わり始めたばかり。言語もUIもコンピュータリテラシも大きく変わるはず。
で、HTML5について今どう感じているかについては、
を参照ください。