z方向に一様な電場の中で時刻と時刻で同じ場所に到達する相対論的電荷qの運動を考えます。簡単のため空間は1次元とします。
二つの時刻の位置が運動の条件になっている場合、Lagrangianと最小作用の原理で考えるのが適しています。
作用は以下のように定義されます。
光速度cに比較して遅いNewton近似では、作用は、以下になります。
これは放物線運動を取ることがわかっています。
相対論的効果は上記放物線運動からのずれということになりますが、仮にそのずれを、係数からのずれとみなして考えてみます。係数をaとして、作用のaに関する導関数を計算してみましょう。簡単のため、とします。
/* 5.3.6m */ assume(c > 0)$ assume(a > 0)$ z(t) := -a*t*(t - 1)$ lagrangian(t) := -m*c^2*sqrt(1 - (diff(z(t), t)/c)^2)-q*E*z(t)$ action(a) := integrate(lagrangian(t), t, 0, 1)$ action(a); daction(a) := ratsimp(diff(action(a), a))$ daction(a);
微分する前の後で分子がよく似ていてちょっと不思議な式です。最小作用の原理を適用するために、二番目の式の零点が知りたいのですが、arctanを含んでいてややこしそうです。
そこで、1/cで展開して、近似した後、零点を求めましょう。
taylor(at(daction(a), c=1/x), x, 0, 2); solve(%, a); taylor(a, x, 0, 2), %[3]$ print("a=", expand(%)), x=1/c$
相対論的第一近似では、放物線の係数はNewton近似よりも少し小さい軌道のほうが作用が小さく、軌道が低くなることがわかりました。
参考文献
- Crandall, Mathematica―理工系ツールとしての (アジソン ウェスレイ・トッパン情報科学シリーズ) p.115-p.120
- Feynmann, et al, ファインマン物理学〈3〉電磁気学